HOWDY!
アメリカ・テキサス州オースティン在住9年目、現地マーケットリサーチャーのメグです。
2025年、オースティンは自動運転車両(AV: Autonomous Vehicle)元年とも呼べる局面を迎えています。3月にGoogle資本のWaymoがUberと提携して無人自動運転タクシーサービスを開始、Teslaが6月にRobotaxiの有人自動運転乗車サービスを全米に先駆けてスタート。Uber Eatsとの提携で、自動運転の食品デリバリーロボットでデビューを果たしたローカルスタートアップAvrideも、今年7月に自動運転車両のテスト走行を開始、Amazon資本のZooxも市内を走行しています。
その中で注目すべきは、「2025年に報告された自動運転車両事故(衝突)」の実態を示すデータです。地元メディアKXANによるNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)報告を整理すると、オースティンでのAV走行はリスクと透明性の両面で、非常に興味深いフェーズにあります。
1 主な企業と事故報告数
NHTSAには、2025年11月時点で合計68件の衝突事故が報告されています。
Waymo:オースティンで最も多くの無人自動運転タクシーを運用しており、2025年には 58件の衝突をレポート。NHTSAへの報告義務に基づき、Waymoはアクシデントを比較的丁寧に公開しています。報告によると、多くは他の車両が後方から追突したり、反転してぶつかってきたり、駐車場のチェーンや椅子など障害物が絡んだ事件です。KXANの記事では、「多くの事故は自動運転車両側のエラーではなく、他車や固定物が原因」との分析があります。
Avride:2件の事故を報告。3月には別車両に追突される事故、6月には逆走車がぶつかってきて逃走、というレポートです。
Tesla(Robotaxi):8件のインシデントを報告。詳細についてはすべての事故説明が黒塗りで、機密情報として非公開になっています。
2 Waymoの報告にみる傾向と具体事例

ダウンタウンを走行するWaymoの無人自動運転タクシー
前述の通り、Waymoが最も多くの自動運転タクシーを運用しています。58件の報告のいくつかを紹介します。
- ある事故では、交差点の左折レーンで車が停止中、後方からSUVが追突。
- 別の報告では、Waymo車両の前輪が外れる(ホイール分離)という深刻な機械的トラブルがあり、乗客に軽傷。
- 駐車場にあるチェーンに下部をこすられたり、進路上に置かれていたイスに接触したりと、障害物との接触。
ユーザーからは「止まったまま車内に閉じ込められた」「ドアが開かず降車できなかった」という報告もあります。ある乗客はTikTokで5分以上の拘束を訴えました。Waymo側は「乗客が停車ボタンを押し、それが作動した結果」と説明しています。
3 重大事故には至っていないが報告に限界
オースティンの2025年の自動運転タクシーに関する事故データを整理すると、最も頻度が高いのはWaymoの衝突ですが、多くは「他車両や固定物が原因」であるという報告です。重大な人的被害につながった事故は公表された中には確認されておらず、事故の多くが物的損傷の範疇です。
一方で、データには限界があります。NHTSAへの報告は各企業自身が提出する形式で、企業ごとに詳細度や透明性がまちまち。特にTeslaは多くを非公開にしており、事故の実態を外部から完全に把握するのは難しい状況です。

Teslaの自動運転タクシー予約アプリ「Robotaxi」の乗車予約画面
自動運転車両元年の2025年、オースティンではダウンタウンを中心にWaymo、Tesla、Avride、Zooxが走行しています。現状で、無人の自動運転タクシーを運行しているのはWaymoのみ。Teslaの自動運転タクシーRobotaxiは人間の監督者が同乗しています。Avrideは、年内の自動運転タクシーサービスの運行開始をテキサス州ダラスで予定しています。
自動運転タクシーが広がることで、利用者が得るものは「選択肢」です。深夜ならロボタクシーで安全に静かに帰る、荷物が多い時や観光なら、会話ができて柔軟な対応を期待できる人間のタクシーがいいでしょう。利用者は、シーンごとに最適なモビリティを使い分けられる時代が来ています。

オースティンの高速道路。2025年時点では、自動運転車両の走行は一般道のみ
Pathway Connectについて
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